分散型電源 概要・必要性・留意点・問題点
分散型電源の概要
分散型電源は小規模であるため、電力系統と連系することにより、より安定した電力が得られ、設備利用率の向上とエネルギーの有効利用可能。
分散型電源の必要性
- 化石燃料への依存性を低減できる
- クリーンなエネルギーを使うことで、環境対策が可能
- 建設期間が短い
- 電源分散により、電力系統事故時の供給信頼度を高める
系統連系上の留意点・問題点
- 系統事故時には速やかに連系を切り離す
- 供給信頼度、電力品質(電圧、周波数など)の面で、他に悪影響を与えないこと
- 交直変換器には高調波対策が必要
- 短絡容量を増大する。また、遮断容量不足にならないように留意する
系統連系の保護装置
分散電源側事故時
系統に事故を波及させないように、瞬時動作要素付過電流継電器、および地絡過電流継電器を設ける
系統側事故時
分散電源を切り離す方向短絡、不足電圧および地絡過電圧などの継電器を設ける
単独運転をさけるため
逆電力および周波数低下継電器などを設ける
分散型電源の種類
太陽光発電
割愛
太陽熱発電
太陽光線による熱エネルギーを効率よく集めて熱源とし、その熱エネルギーを熱機関によって、電気エネルギーに変換する発電方式。
風力発電
風のエネルギーは、受風断面積に比例し、風速の3乗に比例する。
風車の種類は、水平軸風車:高速タイプのプロペラ形、と鉛直軸風車:ダリウス形、ジャイロミル形に分けられる。
風は、その強さと向きを絶えず変化させているので、この変動する風を効率よく捕獲し、安定した出力を得るため出力・回転速度を制御する翼のピッチ制御(風速に応じて翼の角度を変え、出力を制御する)、及び風向制御するヨー制御(風向きに応じて首を振る)が用いられる。
地熱発電
- 天然蒸気をそのまま、又は不純物を除去したのち、直接タービンに作用させて発電する方法
- 熱水混じりの液体から蒸気を分離し、直接タービンに作用させ発電する方法
- 天然蒸気又は熱水を熱源として熱交換器で水を蒸発させて発電する方法
メリット
- 自然エネルギー利用し、燃料が不要
- 蒸気を用いる場合、ボイラや給水設備が不要で経済的
デメリット
- 蒸気は、低温・低圧かつ飽和蒸気であるため、直接タービンに使用できず、汽水分離器が必要
- 硫黄などの不純物はある場合は、腐食対策等が必要
- 地点が、蒸気噴出地域に限られる
- 発電量が噴出井の位置、深度、経年などの影響を受け、常時一定の出力が維持できない
地熱発電の新技術
バイナリサイクル発電
低沸点の作動媒体(ペンタン:沸点36.1℃など)を用い、蒸気や熱水により熱交換し、タービンを回転させる発電方法。作動媒体サイクルと蒸気・熱水の熱サイクルがあるためバイナリー発電と呼ぶ。
トータルフロー発電
生産井から噴出ふる流体を蒸気と熱水に分離せず、直接、膨張機に導いて発電する方法。
高熱岩体発電
高熱の岩体に穴を開け、そこに注水し、蒸気として取り出すことで発電に利用する方法。
燃料電池発電
割愛
石炭ガス化発電
石炭は炭素のほか多くの硫黄と窒素を含んでいるため、そのまま燃焼すると大気汚染させることになる。これらの大気汚染物質を除去し、かつ固定燃料の欠点である輸送、貯蔵上の問題を解決するため、石炭や重油をガス化して発電する方式。
石炭を塊または微粉状にし、ガス火炉に入れて、無酸素状態で過熱し、水素やメタンなどの可燃性ガスに転換する。
LNG冷熱発電
LNGは、気体状のガスを液化するために、-162℃に冷却され(体積は1/600)、この冷熱エネルギーを利用するのが冷熱発電。
直接膨張サイクル:LNGを海水で気化させ直接タービンを回す
2次媒体サイクル:低融点の作動媒体(ブタン:-140、プロパン:-188など)を冷却水の代わりにLNGを用いる2次媒体発電、作動媒体を蒸発させるために用いるのは海水
波力発電
波の上下動で起こる空気を押したり、引いたりし、空気タービンを回転させる方式。
潮力発電
海の干満の差を利用したもので、約10m必要。
温度差発電
海底の低温と海面の温度差を利用した発電。低融点作動媒体をもちいる。
MHD発電
ファラデーの電磁誘導の法則により、磁束の間に、導体に変わる高温ガスを用いて、発電させる方式。
高温ガスに、シード物質(カリウム、セシウムなど)の添加物を混ぜ、磁束の間を通す弧により、直流として発電させる。石炭や重油によって、作成された高温ガス内の硫黄などの成分がシード物質に吸着され、ガスを取り出すときにシード回収装置で回収するため、必然的に大気汚染物質が除去される。
高温ガスは、このあと汽力発電に利用される。
電力貯蔵装置
NAS電池
- 鉛電池に比べ、エネルギー密度が高く多量の電気エネルギーを貯蔵でき、コンパクト
- 充放電は、87%以上の効率で瞬時に切り替えられ、電解質が固体(セラミック)であるため自己放電がない
- 2000サイクル以上の充放電が可能
- 密封モジュール構造でメンテナンスフリー
- モジュール(機能単位、交換可能な構成部分)により、各種の容量に対応でき、建設期間が短時間
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