変電所 基幹系統・ 母線 結線方式
基幹変電所の母線方式として二重母線4ブスタイ方式、1・1/2遮断器方式が採用される。
考慮すべき事項
- 送電線事故時、母線事故時の系統への影響
- 変化する電源、送電線工事に対応する適応性および増設工事の安全性
- 系統運用操作の容易性
- 経済性
二重母線4ブスタイ
- 母線事故は、全体の1/4にとどまる
- 1回線あたりのCBが1個で、1・1/2遮断器方式より、経済的
- CB点検時、回線の停止が必要
- 母線連絡用開閉器遮断失敗で、2区分停止する
1・1/2遮断器方式
- 片側母線が事故停止しても、系統に影響なし
- 3台のうちどのCBを点検しても、停止回線なし
- 母線事故での系統分断が阻止できる
変電所 母線種類
高電圧の変電所で採用される母線で特に考慮されること
- 大きな電流容量
- コロナの発生
母線は、がいし、架線金具からなっており、母線の種類は、
- 裸母線:より線または剛体
- 密閉母線:ブスダクトで遮へいしたり、特殊ガスで絶縁する
がある。
裸母線
引留式母線
硬銅より線、硬アルミより線、アルミ合金より線などのより線を導体とした母線より線を懸垂がいし、又は長幹がいしなどで、鉄構に引き留め、より線に張力を加えることによって、導体を所定の位置に保持するもので、
- 経済的
- 取り扱いも容易
固定式母線
銅帯、鋼帯、アルミ合金管などの剛体を導体としたアルミパイプやチャンネルの剛体をステーションポストがいし(ステーションポスト碍子 支持碍子の一種。多数のひだがついた円柱状絶縁体の両端にフランジなどの連結支持用金具が取り付けられており、構造体を固定支持する用途に用いられる。複数を積み重ねて使用することもできる。)などで支持するか、懸垂がいしなどでVつり支持する方式。
- 鉄構の軽量化
- スペースの縮小化(パンタグラフ形断路器などを組み合わせることによって)が可能
アルミパイプ母線
【特徴】
- コロナ発生電圧が、より線母線より高くなり、コロナ発生上有利
- がいし数を減少できるので、絶縁上、活線洗浄および塩害対策上有利
- 配列が簡素化され、運転保守に便利
- 導体の横ぶれがないので、相間距離を縮小できるため用地が縮小できる
- 導体を張るため鉄構が不要で、支持物が簡単軽量することができる
- 母線で大きな電流容量がとれる
【技術上考慮すべき事項】
- 母線材に作用する荷重と、短絡時の電磁力の合成力に対して、余裕をもって耐えられること
- 母線の振動数が母線材の固有自由振動数と接近し、共振状態とならないようにする
- 熱膨張係数が銅よりも5%大きいので、伸縮ジョイント部分がコロナを発生しやすくなるので、この防止を図ること
- 母線の分岐接続、機器接続の端子において雨水の浸入や銅と直接接触となるので、電飾に注意しなければならない
密封母線
ガス絶縁母線
導体を接地した金属ケース内に収納し、絶縁媒体としてSF6ガスを充填し、所要スペースを大幅に縮小した母線。
ビルの地下など広いスペースの入手が困難な場所とか、塩じん害を受ける地区、騒音・日照権・美観など環境上問題のある場所に適している。
固体絶縁母線
エポキシ樹脂などの絶縁物によって母線導体を絶縁したもので、3~66kVの固体絶縁として利用される
相分離型密封母線
各相母線をそれぞれ独立した非磁性の金属ケース内に収め、おのおのを分離して配置したもので、大容量の発電機や調相設備回路に使用される。
- 線間短絡の恐れが少ない
- 大電流が可能
- ケーブルのような繁雑な端末処理が不要
変電所 母線の保護継電方式
電流差動方式
母線に流入する線電流の総和と、流出する線電流の総和を変流器によって、差動的に接続し、その差動回路に継電器を設けた方式。
母線の内部故障のときに、継電器には、差動電流が流れて、動作し保護する方式。
電圧差動方式
電流差動方式の電流継電器の代りにインピーダンスの高い電圧継電器を差動回路に接続した方式。
位相比較方式
外部故障の場合は、故障電流の流出する端子の電流と他の各端子の和電流の位相は逆位相となり、内部故障の場合は、この電流の位相は同位相となるので、同位相のときに継電器を動作させ、母線を保護する方式。
位相比較付き差動電流方式は、母線内部事故時には各端子より流入するすべての電流が、ある特定位相に集中するのに対し、外部事故時には少なくとも一端子は逆位相になる。これを利用して事故の内外部を判定するもの。
事故母線方式
母線各相をバスダクトなどで遮へいし、これを大地から絶縁し、そのケースの接地線に変流器を接続して、二次回路に過電流継電器を接続して母線を保護する方式。