水力発電|種類、水車特徴、水撃作用原因と対策、速度変動率等の解説

水力発電、水車種類、調速機、速度変動率



水力発電の種類

衝動水車

水の持つ位置エネルギーを運動エネルギーに変えて、機械的エネルギーを得る
2種類:ペルトン水車、クロスフロー水車

反動水車

圧力エネルギーに変えて機械的エネルギーを得る
3種類:フランシス水車、斜流水車、プロペラ水車(カプラン、プロペラ、チューブラ)

注意

ガイドベーンもランナベーンもサーボモータによって動かされる。

各水車の特徴

ペルトン

ニードル弁で水流調整するため、軽負荷時でも効率の低下少ない。また、多ノズル形では、負荷に応じて使用ノズル数を切り換えて運転することにより、さらに効率の低下を防ぐことができる。

フランシスとプロペラ

ランナベーン固定のため、部分負荷運転時の効率悪い。

クロスフロー水車

ランナが円筒形。小容量で中落差~低落差に幅広く適用。構造が簡単、保守が容易。流量変化に対して、高い効率を維持できる。

水力発電の水撃作用の原因と対策

水撃作用の原因と対策

落雷などによる遠方遮断、あるいは、所内事故による単独遮断の結果、系統から切り離された主機を急停止させるため、水口(可動案内羽根)が旧封鎖した場合が大きな原因。
他は負荷急変、水口が封鎖せず、入口弁のみ封鎖した場合。

ペルトン水車:ニードル弁急閉⇒デフレクタ動作⇒ニードル弁閉

反動水車:ガイドベーン急閉⇒制圧機動作(ガイドベーンの一定速度以上にて、動作する)

基本は、サージタンク(単動式、差動式、制水口、水室)

調速機

調速機の動作原理(機械式と電気式の共通事項)

  1. 速度検出部において、回転数を検出
  2. 増幅部において、速度変動の検出信号を受け、配圧弁を動かす信号に増幅する
  3. 配圧弁において、増幅部の信号を受け、その信号によって、ガイドベーンサーボモータを開側、閉側に動作させる配油を送る
  4. サーボモータにおいて、配圧弁の油圧を受け、開側、閉側に動き、ガイドベーンを開閉する
  5. 復原部において、サーボモータの動きに比例した信号を受け、ガイドベーンを行き過ぎ操作しないように、増幅部にフィードバックする。

調速機動作上の重要事項

  1. 水車発電機は、大きな慣性があり、ガイドベーンを開閉しても直ちに回転速度は変わらず、ガイドベーンを行き過ぎ操作する恐れがあるので、復原機構によって、ガイドベーンの動作量をフィードバックして信号を抑制している。
  2. 並列している多くの水車発電機に、変動する負荷を任意に分担させるため、速度調定率を設定する機能を持たせている。   

調速機各部説明

速度検出部

回転速度が定格回転数より、速くなったり、遅くなったりした量を検出する
 ・ 機械式:スピーダ
 ・ 電気式:PMG Permanent Magnet Generator永久磁石発電機

増幅部

速度変動の検出信号を受け、配圧弁を動かす信号に増幅する
 ・ 機械式:フローティングレバー
 ・ 電気式:演算増幅部

配圧弁

ガイドベーンサーボモータに圧油を送る弁で、増幅部信号を受け、その信号によってサーボモータを開側又は、閉側に動作さえる圧油を送る

サーボモータ

配圧弁の油圧を受け、開側、閉側に動き、ガイドベーンを開閉する

復原部

・ 機械式:ダッシュポット、スプリング
・ 電気式:フィードバック回路

電気式調速装置種類

ダンピングガバナ

速度検出部、速度および負荷調整装置、復原部、増幅部に電気信号を用いて、電気信号を機械的動きに変換する変換部を持つ。

PIDガバナ

PID要素に分けて制御するため、ダンピングガバナに比べて、制御の安定性、速応性が優れている。

速度変動率

速度変動率を大きくとる場合の設計要素

  1. 発電機のはずみ車効果を小さくする
  2. 調速装置の不動時間を長くする
  3. ガイドベーンの閉時間を長くする

速度変動率を大きくとる場合のメリット

  1. 発電機の軽量、コンパクト化が可能。
  2. 不動時間及び開閉時間を長くすることで、水圧上昇や水撃作用を軽減でき、水圧鉄管、入口弁(水口のガイドベーンじゃない)、水車ケーシングの設計水圧を低くすることができ、建設費が安くなる。
  3. ガイドベーンの開閉時間を長くすることが出来れば、調速機容量または、電動サーボ容量を小さくすることが可能
  4. 以上より、回転体などを軽量、コンパクト化することにより、建屋の縮小、起重機の容量削減、建屋掘削面積の低減など、建設費の低減が可能

速度変動率を大きくとる場合のデメリット

  1. 負荷遮断時の速度上昇が大きくなり、遠心力による水車及び発電機の応力が増大する。
     少なくとも、水車の速度上昇は定格速度の30~40%以内に抑制しなければならない
  2. 負荷遮断時の速度上昇に伴って、発電機の発生電圧と周波数が過渡的に上昇するため、所内補機の過電圧や過励磁に注意する必要がある
  3. 発電機のはずみ車効果を小さくした場合、周波数の変動幅が大きくなり、単独運転には不向き
  4. 発電機のはずみ車効果を小さくした場合、速応性の高い調速機を設置する必要がある
  5. 発電機のはずみ車効果を小さくした場合、過渡リアクタンスが多くなる傾向があり、系統の過渡安定度に悪影響を与える。

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