タービン発電機関連|調速装置、調速制御方式、再熱制御装置等の解説

電験 タービン発電機



タービン発電機 タービンの調速装置

機械式:遠心重錘(じゅうすい)式

タービンの歯車装置を経て、調速機のスピーダ、配圧弁、サーボモータ、蒸気加減弁の順に調整する方式。

油圧式:遠心ポンプ方式

タービンに直結した油ポンプの送出し油圧が回転数の2乗に比例して増減するので、油圧伝達機構を介して蒸気加減弁に伝え、蒸気量を調整する。

電気式:

遠心力とは無関係に小形速度小形速度発電機の電圧又は回転数に比例したパルスを検出する方式。

調速制御方式

絞り調速法:

単一又は複数の弁を同時に同じ特性で開閉し、蒸気の流入を加減する方式。
構造は簡単。部分負荷で蒸気量を単一の弁で絞るため、加減弁の蒸気圧力損失が大きく、タービン効率が低下する。

ノズル締切調速法:

多数のノズル弁を直列に開閉しながら、蒸気の流入を加減する方法。
高圧タービン第一段落のノズルをいくつかの組に分けて、そのおのおのに加減弁を1個設けている。このため、部分負荷においうても所要の加減弁は全開状態付近で使用するので、加減弁の圧力による損失は少なくなる。

全周噴射法:

タービンから見て左側の主蒸気止弁に小弁を設け、全加減弁を全開のままで、始動時に主蒸気止弁を開ける前に小弁の開度によって、蒸気量を調整し、蒸気を第一段落タービンに全周噴射させる。このため、ケーシング各部に均一に蒸気が流れ、蒸気通路部での蒸気速度が低くなるので、熱伝達係数が低下し、金属の温度が急激な変化がなくなる。始動から20%以下の軽負荷運転時に広く用いられている。

再熱タービンの制御装置

急激に負荷が遮断されたとき

調速装置が作動して、加減弁を閉じ、流入蒸気を閉止しても、再熱系統の残留蒸気が後部の段落で膨張して危険な状態に過速する。このため、再熱蒸気のタービン流入口にインターセプト弁を設け、再熱蒸気の流入を閉止し、タービンの過速を防止する制御方式が採用される。

タービンの非常装置が作動したとき

再熱蒸気止弁、インターセプト弁、主蒸気止弁、蒸気加減弁を同時に閉じ、タービンを停止する。

タービン発電機の特殊運転

進相運転:

深夜や軽負荷時の電力系統の過剰な進み無効電力を吸収させるため、発電機の励磁を弱め、進相領域で運転させることを進相運転という。

  1. 定態安定度の低下:低励磁によって内部位相角が増え安定度が低下
  2. 固定子端部の過熱:漏れ磁束が増加し、固定子に渦電流が発生し、過熱する
  3. 所内電圧の低下:低励磁によって発電機端子電圧が低下し、所内電圧がさがる。
    固定子端部のフランジや回転子保持環を非磁性体にしたり、フランジに銅板の遮へいを設け漏れ磁束に対する、磁気抵抗を高める。
    固定子端部を段落しにしたり、歯部にスリットを設けたりする。

不平衡負荷運転:

タービン発電機に接続される負荷や電気回路が三相非対称な状態で運転することを不平衡負荷運転という。
このとき,電機子電流には逆相電流が含まれ,正相電流による回転磁界と逆方向の回転磁界を生じ,2倍周波数の交流電圧を誘導する。これにより、界磁巻線に2倍周波数の電流が流れ、同周波数の回転磁束を発生し、しかも界磁巻線は同期速度で回転するため、電機子巻線に3倍周波数の電圧を誘導する。
固定子の電機子巻線には奇数周波数,回転子の界磁巻線には偶数周波数の高調波が発生する。これによって電機子巻線の局部過熱や,回転子ではスロットのくさびと保持環に渦電流による過熱が発生する。そこで,回転子に制動巻線を設け、逆相電流を吸収させたり,くさびに特殊耐熱材を用いる等の対策が行われている。また、逆相電流継電器を設けて、警報又は発電機停止させる。

低周波数運転:

発電機を低周波数運転すると、低圧タービン動翼の共振、補機類の出力低下などが発生する。特に問題となるのは、低圧タービン動翼の共振で、低圧タービンの最終段付近は、細長い構造となっているので、共振周波数が低く定格回転速度及びその倍数値から十分離すことが困難である。このため、翼が振動を起こし、材料に高い繰り返し応力が加わり、疲労破壊を起こす危険性がある。
定格回転速度の2~3%以上の場合は、運転員又は低周波数継電器によって発電機を停止する。

界磁喪失運転:

発電機の界磁を喪失した状態で運転すると、発電は誘導発電機と同じ作用になり、過大な遅れ無効電力を消費して、発電機端子電圧を低下させる。
界磁喪失継電器を設置して、発電機を停止する。

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